
今日は音のGARAGEです。
今回のテーマは
ビリー・アイリッシュとオリヴィア・ロドリゴ 対照的な【失恋ソング】にみる天才歌姫の共通点。そこには、未来の歌手へのヒントがあった
と言うテーマです。
✅軽く自己紹介
プロデューサー/ディレクターとして20年。プロの現場でメジャーアーティストと一緒に音楽を作って来ました。現在はメジャーレコード会社で制作の最高責任者をしています。
二人ともここ数年で突如現れ爆発的なセールスで一気に世界のトップに上り詰めたアメリカの天才歌姫

この二人の失恋ソング2曲を聴き比べてみると対照的でありながら様々な共通点が見つかったので
【GARAGE考察】と題してご紹介したいと思います
この記事はこのような構成になっています
- ビリー・アイリッシュとオリヴィア・ロドリゴとは?
- 音作りから見る二人の共通点
- 歌詞から見る対照的なスタイル
- まとめ【そこに未来の歌手へのヒントがある】
それでは解説いたします
もくじ
ビリー・アイリッシュとオリヴィア・ロドリゴとは?

ビリー・アイリッシュ 2001年生まれ(20歳)
第62回グラミー賞で史上最年少・2度目の主要四部門受賞を達成
全世界で740万枚以上のセールスを記録、なおも売り上げが伸びている
bad guyはYouTube 11億回再生

オリヴィアロドリゴ 2003年生まれ(17歳)
デビュー・アルバムとデビュー・シングルの両方で1位を獲得した最年少アーティスト
デビューシングル【Drivers License】は初登場から8週連続全米シングル・チャートで1位(史上初)
Youtubeの再生回数は現時点で2億5万回再生
デビューアルバム【Sour】はSpotifyで3日間で10億回再生の記録を樹立

どちらも間違いなく現在の世界No1アーティストであり、そして二人とも10代でそこまで上り詰めています。
今回は ビリーアイリッシュのNEW ALのリード楽曲 【Lost Cause】とオリヴィアロドリゴのデビュー曲【Drivers Licence】を比較してなぜ二人が世界のトップを走っているかを考察したいと思います。
音作りから見る共通点 【ミニマリストスタイル】と【ささやきスタイル】
まず2曲を聴いてみて僕が思った共通点は3つ
- 必要でないサウンドを極限まで減らした【ミニマリスト的サウンドデザイン】
- まるで歌詞を読んでいるような【ささやきスタイルの歌唱】
- 空間を大事にしたメロディ
どちらの楽曲も必要な楽器以外を極端に減らしたサウンドデザインになっている。
このことから 最近のアメリカのトレンドは 【よりシンプルで歌詞がストレートに入ってくる】トラックメイキングが流行と言うことがわかる。編曲も必要最低限。プロトラックメーカーならすぐに作れる編曲ではあるが、このようにすることによってシンガーの個性を最大限に活かしているのだろう
歌唱方法はどこか気怠く、絶望感のある歌い方【ささやきスタイル】と言うような感じ。
これはどちらかと言うと,先にデビューしたビリー・アイリッシュが確立したスタイルな気もするが
その後の若いオリヴィア・ロドリゴなどにも大きな影響を与えたのではないだろうか。
そして歌唱方法を生かすようにメロディーラインもシンプルで、同じフレーズを何回も繰り返す。余計なメロディーは歌わず2~3つくらいのメロディーで曲を作っている手法。邦楽では中々みられない。
歌詞から見る対照的なスタイル【陰キャのビリー・アイリッシュ】と【陽キャのオリヴィ・アロドリゴ】

今回比較した楽曲だけで言うならこのような構図でした
ビリーアイリッシュ【Lost Cause】の歌詞は
I wonder if you were aware that day(あなたは気付いていたのかな あの日が)
Was the last straw for me and i knew(とどめになって我慢の限界を超えたって)

と失恋ソングではあるが 【自分があなたを捨てた】と言わんばかりの内容になっている。恨み辛みを言いながら最終的に 【私に見る目がなかった】と言うところに落とし込んでいる
一方オリヴィアロドリゴの【Driver Licence】の歌詞は冒頭でいきなり
I got my driver’s license last week. Just like we always talked about
(先週運転免許を取ったんだ、私達、いつもこのことばかり話していたよね)
と非常にティーンの甘酸っぱい青春爆発シーンから始まる。

日本人には馴染みがないがアメリカは16歳から運転免許が取得でき、免許をとるのは高校生の一大イベントで、青春の代名詞といった感じなのです
サビでは
Cause you said forever Now I drive alone past your street
(だって「ずっと一緒だ」ってあなたは言ったのに今は1人あなたとの思い出の道を運転している)
と言うように、すごく男性が好きそうな健気な女性像を歌っている。
日本で言えばまさに【陽キャ】と【陰キャ】と言う感じで
オリヴィア・ロドリゴはイケてる女子代表、ビリーアイリッシュは世間と馴染めないバッドガール女子代表と言った感じである
サウンドデザインは同じなのにこの対照的な感じがこの2曲の【最も面白いところ】だと僕は思いました。
そして2曲とも爆発的に売れている。きっと、世の中を2つに分けた時に,女性ならどちらかに必ず共感できる状態なのかな?と想像しました。
まとめ 2人から学ぶこれからの邦楽
もちろん紛れもない天才の二人なのですが、これから楽曲を作っていく女性アーティストには参考にできる部分が多くあると思いました。
- 必要なものを極端に省くサウンドデザイン
- 歌い上げすぎず、リスナーに寄り添うような歌い方
- 自分の仲間(同じキャラ)の人たちに強烈なメッセージを送る歌詞

「今洋楽で流行っているものが日本で流行るのは10年後」と言うのは既にSNSやインターネットが普及していなかった大昔の話。今はスマホ一つで世界中の素晴らしい音楽が聴けて情報も溢れている。
2人に影響を受けた女性アーティストが日本に生まれて
天下を取るのもそう遠くはない話かもしれないですね!
お読みいただきありがとうございました。