
皆さんこんにちは音のGARAGEです。
今回のテーマは
アーティストってどんなお仕事?【コンサート編 前編】
というテーマで解説して行きます
✅自己紹介
プロデューサー/ディレクターとして20年。プロの現場でメジャーアーティストと一緒に音楽を作って来ました。現在はメジャーレコード会社で制作の最高責任者をしています。
今回の記事はこのような方向けです
- これからコンサートの仕事に携わりたい
- 自分のコンサートを開催したい
- コンサートをしたいけどやり方がわからない
- コンサートで稼ぎたい
テーマは前編、後編の2記事に分かれています
前編:アーティストにとってコンサートとは?
後編:プロのコンサートの作り方レシピ
この記事の前にこちらでアーティストのお仕事【楽曲制作編】を解説していますので、そちらからお読みいただけるとより内容がわかると思います。
それでは前編の解説です
もくじ
曲完成!発売!そして最終ゴールはコンサート

今回は前回お話ししたアーティストのお仕事の②
【歌う】というお仕事です
アーティストのお仕事の大半は【楽曲制作】というお話をしましたが
その楽曲が最後に行き着くところがコンサート(ライブ)となります
アーティストに【活動の中で最も好きなことは?】という質問をすると
大半のアーティストが【コンサート】と答えます

それはなぜか?
- ファンのみんなと会える
- 楽曲を多くの人の前で演奏できる
- 楽曲を通して大切な人達と時間を共にできる
- 歓声がもらえる
といった理由が主です。やはり、曲を聞いてもらうだけではなく、ファンの前で顔をあわせ歌うというのは何にも変えがたい幸せな瞬間なのです。
次点として【収入源】という部分もありますが…
基本的に全国ツアーの前にアーティストはアルバムを発売します
シングルですでに世に出ている楽曲の他に,アルバム曲というのがアルバムには収録されています。

アルバム曲って実はすごく面白いんですよ

アルバム曲は今アーティストが本当にやりたいことや
この先ツアーでやりたい事がぎっしり詰まっているんです
シングル楽曲はタイアップやCMなどコンセプトに基づいて作らなければならない場合が多いですが、アルバム曲は【アーティストの今】がより濃く反映されている事が多いです。
是非コンサートを見に行く前にそんなことを考えながらアルバムを聞いてみると、会場で面白い答え合わせができると思います。
コンサートの種類って何があるの?
コンサートは数種類に分かれています。それがこちら
- 小規模:レストランやバーなど 1~30人規模
- ライブハウス:30人から500人規模
- 大型ライブハウス:1000人~2000人規模のライブハウス(ZEPP等)
- ホール:700~5000人規模 (○○市文化会館等)
- アリーナ:5000人~1万5000人規模 (さいたまスーパーアリーナ等)
- スタジアム:1万~5万人規模(東京ドーム等)
※収容人数はセットの組み方などで変わってはいくので、大体この位だと言う感覚でOKです
【SNSは当てにならない】コンサートの集客目安はFC会員数
SNS時代初期、多くのレコード会社はSNSのフォロワー数を人気のバロメーターとして使用していました.
【フォロワー10000人】いるからZEPPでツアーを組みましょう!
と言うように…そして結果は…大失敗
今でこそ「当たり前でしょ!」と思われるかもしれませんが、実際こんな簡単なミスが数年前まで普通にありました
やはりSNSというのはフォローも無料で簡単!情報を得る為だけに登録している人も多いです。
そのフォロワーがわざわざチケットを買ってライブに足を運ぶか?というとそれはまた別の話
ご自身でコンサートを開催するときにそこはある程度切り離して考えてください。
もちろんSNSは集客のための宣伝には効果抜群なので、使い方を間違えないようにしてください。
レコード会社は基本的な集客予想をFCの会員数をもとに割り出します

ファンクラブ会員こそ最もコアなファンでライブに足を運んでくれる中心の人達なのです。
例えば
惜しくも活動休止してしまった嵐は推定300万人のファンクラブ会員がいます
10分の1しかコンサートに来なかったとしても、30万人。全国のドームツアーができるわけです。
実際チケットがプレミア化してるところをみると、本当はもっと本数を増やしても楽勝に埋めれることができると思います。
もちろんCDが売れていればファンクラブに入ってくれる人も増える為、より大きな場所でコンサートが開催できるようになるわけです。
チケットソールドアウトでも赤字 コンサートで稼ぐ方法とは?
コンサートの主な収益はこちらです
- チケット代
- グッズ販売
- 映像の二次使用料
- 協賛
実際チケットを売り切っても赤字、なんていう公演は皆さんが思うよりずっと多いです
よくドーム3DAYSなんていうコンサートがありますが、あれは支出を埋める役割も担っています。
もちろんドームを埋めれるだけの力がアーティストにないと更に赤字になるのですが
そんなお金がかかるコンサートの収益突破口はずばり
2.グッズ販売と 3.映像の二次使用料 です
先にお話ししておくと4の協賛というのは収益のためというより、制作費の補填という側面の方が大きいです。

ツアーに行くとペンライトやタオル等の応援グッズ、そしてツアー限定グッズなんかが欲しくなりますよね?それがコンサート収益を増やす1番のツールです。

そしてコロナ以降 3の映像の二次使用料というのも今各社力を入れ始めている一つです。
Netflix,Hulu,Amazon Primeなど今までライブ映像の配信というのはWOWWOWやスカパーが盛んに行っていましたが、いわゆるVOD系メディアも最近この配信ライブやコンサート映像に力を入れています。独自のメイキング映像も合わせて作り,【完成していく様子も伝える】という部分にも力を入れています。
ニューノーマル 【配信ライブ】という新たな形
そんなコロナからの流れで最近は配信ライブというのがずいぶん定着してきました
配信と有観客を組み合わせる【ハイブリッドコンサート】というのも最近多く見受けられます。
気軽にライブを自宅で生中継で楽しめる機会も増え よりファンの参加の仕方も選択肢が増えたように思えます
ただ個人的にはやはりコンサートを見たい人は目の前で【アーティストに会い】【ファンのみんなと楽しみたい】
のではないでしょうか?
コロナで「イベント業界大打撃」、「コンサートは終わった」 などの記事をよく見かけますが
私ははコロナを超えればコンサート業界のバブル期が来るのではないか?と思っています。
今、多くの人が我慢している欲求が爆発し、多くの人が【コンサートという体験】を求めに会場に足を運ぶようになるのではないかと思います。
まとめ
今、音楽に携わっている人たちはかつて無い逆境に立たされていることと思います
今は歯を食いしばって耐え、いずれ来るであろうコンサート全盛期に向けて力を蓄えるべき時なのかもしれません。今音楽活動をしっかりやっていなければ,時代に取り残されてしまうのではないでしょうか?
お読みいただきありがとうございました。
後編は【プロのコンサートの作り方レシピ】を解説したいと思います。