アーティストの楽曲制作方法を解説!ディレクター歴20年

本日のテーマ

アーティストってどんな仕事?【曲が出来上がるまで】プロの楽曲制作手順

というテーマ解説して行きたいと思います。初心者の方にもわかりやすく専門用語はなるべく使わないで説明していこうと思います

Youtube版でもこの記事のざっくり解説が見れますので動画の方が良い方はそちらをご覧ください

まずは簡単な自己紹介

プロデューサー/ディレクターとして20年。プロの現場でメジャーアーティストと一緒に音楽を作って来ました。現在はメジャーレコード会社で制作の最高責任者をしています

アーティストの基本的な仕事

まず始めにアーティストの仕事を大きく分けると

  • 作る(楽曲制作)
  • 歌う(コンサート)
  • 伝える(プロモーション)

という3つに分けられます
今回は1の【楽曲制作】という部分にフォーカスして制作手順を解説いたします。

本記事の構成

  1. プロローグ〜アーティストには色々な種類がある
  2. 作曲/仮歌詞
  3. 編曲
  4. 本歌詞
  5. レコーディング<主旋/コーラス>
  6. ミキシング
  7. マスタリング
  8. まとめ

プロローグ~アーティストには色々な種類がある~

そもそもアーティストって曲の作り方も人それぞれじゃないの?

もちろんそうなんです!今回は4つのパターンに分けてみました

  • A.シンガーソングライターType(自分で作詞作曲)※例 あいみょん
  • B.シンガーType (作詞作曲をプロの作詞家作曲家に頼み歌だけ歌う)※例 安室奈美恵
  • C.バンドType (メンバー内で作詞作曲を完結する)※例 ワンオク
  • D.ハイブリッドType(場合によってABCを使い分ける)※例 LiSA

Bタイプのアーティストが
数年後Aタイプに変わったり
なども多々あるので、あくまで代表的な4つと捉えてください。

今回は最もオーソドックスな制作進行を解説させていただきます

前提として
【O月OO日に発売が決まっている楽曲の制作進行】とさせていただきます

① 作曲/仮歌詞制作

多くのアーティストは作曲から制作を始めます
作曲時に実際に使う歌詞(本歌詞)を作ってしまう人もいますが、通常は仮の歌詞で作曲を進めます

代表例としましては:Mr.Childrenの桜井和寿さんは

作曲の際、でたらめな英語歌詞で曲を作り、そのニュアンスに近い日本語を盛り込んで歌詞を制作していくそうです。そうする事によって、【角がある日本語のニュアンス】ではなく英語特有の【耳障りの良さ】を日本語でも表現できるそうです。

※参考記事

売れる歌詞の作り方と桜井和寿さんの作詞方法

じゃーBタイプの人はどうするか?

プロの作曲家に楽曲発注を行います【OOOのような雰囲気の楽曲を探しています】などレコード会社から発注をかけるわけです。

実はメジャーレコード会社には、日本中のプロの作曲家に一斉に楽曲発注できるネットワークがあり
それを使ってコンペという形で楽曲を募集します

人気アーティストにもなると 
1曲の発注に対して数千曲の楽曲が集まります。

世の中に出ている楽曲は
それだけの倍率を勝ち抜いた楽曲なんだね!

もちろん、人気の作曲家に楽曲を書き下ろしてもらうという方法も一般的です

②編曲

①で作曲が終わった楽曲は【編曲】の工程に入ります。

筆者もこの編曲家からキャリアをスタートしたわけですが
編曲家の仕事依頼は2種類あります。

  • 編曲コンペの情報が届きコンペに参加するパターン
  • ご指名で直接依頼される場合

駆け出しの頃はコンペで採用される為に編曲を行う
名前が売れてきたら直接依頼が舞い込むようになる

というのが一般的な流れです。ただ最近は①の段階でかなりクオリティの高い編曲になっていないと曲が採用されない為、作曲家/編曲家を兼業している人や、作曲家と編曲家が始めからタッグとなっている場合も多いです

Cタイプのバンドの場合は
ここでメンバーが楽器の録音をしていきます

③本歌詞制作

さぁ!作曲も終わり編曲も終わりました
次は歌詞です!本番用の歌詞を本歌詞なんて呼んだりします
アーティスト自ら作詞をしない場合は
作詞家さんに頼むのですが

これも2パターンに分かれます

  • ネットワークを使った作詞コンペ
  • .著名な作詞家さんに依頼(書き下ろし)

歌詞は何度も書き直すの?

私の経験からすると何度も書き直します
皆、最適な言葉を試行錯誤して探しているんですね

④レコーディング<主旋/コーラス>

さて曲は出来上がりました! いざレコーディング

1曲何日くらいでレコーディングするの?

レコーディング日数はアーティストによって異なりますが平均1曲2日~4日くらいの期間で仕上げると思います。早い人や忙しい人は1日で仕上げる人もいます。

私がプロデューサーの場合 2日のレコーディング期間があるとしたら

1日目:主メロ
2日目:コーラス(ハモリやユニゾン)

と日にちを分けてレコーディングします。理由としましては

声の消耗です

どうしても声は筋肉なので、主メロに時間がかかってしまうとコーラスの際にすでに疲れている事が多いからです

なのであらかじめ2日用意しておきます。仮に1日目が早く終わったとしても「帰って次のコーラスに備えてゆっくり休んでね」と言った具合でその日は終了します

中には一日3曲録音という鉄人技を続けているアーティストさんもいるかもしれませんが、
10年、20年と続けていきたいのであれば 【休息もアーティストの仕事】だと私は思っています。

⑤ミキシング

制作もいよいよ大詰めレコーディングの後はミキシング作業です

ミキシングとは音を混ぜる作業です。ざっと説明すると


1.ボーカルの音程を直す
2.楽器のバランスを整える
3.ボーカルと楽器を混ぜる

みたいな感じですが…わかりにくいですよね?専門的な話はしたくないので…

チャーハンに置き換えます!!

美味しい焼豚:録音したボーカル

野菜:歌詞 

卵:編曲

米;曲 

だと無理やり思ってください!

ミキシングというのはこの4つを 炒めて塩胡椒で味付けする作業です!

ミキシングを行う事により全てが上手く混ざり合うのです
それを最終的にアーティスト、プロデューサー、スタッフ等で確認し曲はひとまず完成を迎えます

⑥マスタリング

完成した楽曲が最後に辿り着くのがマスタリングという作業です
マスタリングは楽曲制作の最終工程でここで作ったデータが工場に納品されCDやDVDにプレスされます。最近では配信なんかもありますね

作業内容は割愛しますが、例えば数曲あった場合ミキシングが違うので楽曲は統一感がない状態です。
それを最終的に綺麗に整えるのがマスタリング作業となります。

チャーハン、餃子、ラーメンを

一つのテーブルに良い感じに並べる
みたいな感じです!

どんなお皿に盛り付けて、どんなテーブルクロスを引いて
どのように飾り付けるか考えて整えるのがマスタリングです

音量を上げてみたり、より迫力を出してみたり 艶を出してみたり、質感を変えてみたり
そんな作業を終えてついに楽曲は

完成!!

となります

まとめ

プロの現場で楽曲はこのように作られています。今回は実際どのような方法で楽曲が作られていたかを解説させていただきましたが、アーティストの仕事の最も重要な事は日々の音楽の練習です

誰にも真似できない、あなただけの作品を表現するために沢山のインプットをして、オリジナリティあふれる楽曲を制作してください。

最近ではインターネットも普及し自宅でも様々なオンラインレッスンなども受けられるようになったので、ご興味のある方は活用してみてください。

多くの人が時間をかけてより良いものを作るという意識で作った楽曲

明日音楽を聴く時「これもそうやって作られたのかな?」思っていただけると、今より更に楽しく楽曲が聞けるかもしれません。

そして、やがてくる自分のターンに向けて日々音楽活動を頑張ってください!!

お読みいただきありがとうございました